『究極の民間療法ガイド』東洋経済新報社を文庫化しませんかという話があったとき、最初に想定したのは寺の前にならんでいる門前市だった。代替医療の門前市である。やきそば、とうもろこし、甘酒、りんご飴、わた飴、お面や、金魚すくいんどの屋台が並び、その後ろにはかつては屋台であっったかもしれない、鰻屋や寿司屋、そば屋や天ぷらやなどの老舗が連なる。
門前市の先には境内があり、本尊が祀られているのだが、集まる人々は起源になった本尊や参詣のことなど念頭にない。せいぜい賑わいを味わうこととに余念がない。、そんななかで殊勝な人がお賽銭をあげたり、護摩をたいてもらったり、お祈りしてくれるだろう。そんなときに境内の見取り図の看板くらい見てもらえればいいればしめたものだ。
あえて言えば、この本で数え上げた80あまりの代替療法の一口口上くらい述べたかったのだが、それは、「代替医療ガイド」春秋社 のような本にまかせることにして、12の治療法とそれを使った医師や治療家、健康指導者の紹介にとどめた。
読者にとっていちばんの関心事は、どんな治療家がいて、誰がどう治っているのかのほうだろうからだ。ただ、それだけでは、どこにもある「アガリクス」や「フコイダン」などの健康もの出版物と同類になってしまう。そのため、それとは別に９つのコラムをもうけた。
奥の院や本尊を拝みたいという読者には、専門書を読んでいただいたり、それぞれの療法を体験いただきたい。
じつは、代替療法は体験に勝るモノなしのホリスティックな世界なのだ。百万言を費やしても本質に近づけないのは、ことばがそもそも「まるごと」から離れてしまっているからなのだが、それでも語らざるをえないという、私たちのジレンマをご理解いただきたい。
選ばれた言葉はやっぱり宮澤賢治かなあ。
『代替療法ナビ』が筑摩の文庫から発刊されました。しばらく代替医療、代替療法についてこの本をまとめた経緯を記していきます。とりあえず、内容の目次だてをご紹介します。
じつは、ここが結構大事なところなので、よーくご覧ください。まず、第一に西洋医学以外の古今東西のあらゆる治療法ということになると膨大なものになります。その膨大な治療法から自分にあったもの方法を選ぶ考え方をこの目次構成で見てほしいのです。healing、selfhelp、careです。治療に当たるcureはこの先の章になるのですが、それは入っていません。cureには、対処療法である西洋医学が入ってきます。対処療法を否定するわけではないのですが、それなら統合医療ナビと名づけねばなりません。本としてはちょっとできない。で、この構成になっています。
目次
はじめに
授かりものとピンピンコロリ
代替療法のチェックポイント
本書の使い方
序章 prologue 癒しの知恵の宝庫、代替療法
癒しの知恵、代替療法とは？
代替療法一覧
世界にはこんなにたくさんの癒しや健康の技がある
第一章 Healing 見えない世界にはたらきかけるエネルギー医療
【ホメオパシー】赤坂ロイヤルクリニック
Column 1 生命場から考えるエネルギー医療
Column 2 耳・声・トマティスと音の癒し
【サウンドセラピー】ヒーリング・バイブレーション
【バッチの花療法】バッチホリスティック研究会
※バッチフラワーレメディの指標一覧
Column 3 まるごとの場で癒える複合療法、湯治
【温泉療法】松山医院
Column 4 お手あてとハンド・ヒーリング
【ハンド・ヒーリング】東京療院
Column 5 末期にできることとしての祈り
第二章 Self Help 未病を防ぐ自己治癒の技
●息
Column 6 息と呼吸で生命力を養う
【気功・丹田呼吸法】帯津三敬病院／帯津三敬塾クリニック
※調和道丹田呼吸法ダイジェスト
●食
Column 7 食養と栄養学の統合
【マクロビオティック】日本ＣＩ協会
【断食療法・西式健康法】甲田医院
●想
【イメージ療法】ヒューマン・アウェアネス研究所
第三章 Care 五感にはたらきかける治癒の技
Column 8 五感調律というからだ回復の入り口
【アロマテラピー】アルケミア
【温熱療法】三井丼龍堂
【吸玉療法】健康医学社（VAC健康法）
【快療法】快療法の里-研修センター
第四章 Compas 代替療法選びの羅針盤
模擬患者の患者学
帯津病院にみる代替療法の選び方
「息食動想」と代替療法のつながり
どこで治療家に出会えるか
代替医療関連団体、施設一覧
あとがき
脳溢血と「がんもどき」体験
