中国で古代使われていたという「皇帝盤」をご存知だろうか? この「皇帝盤」という名称も定かではないのだが、古代中国の皇帝が吉凶を占うのに使ったことに由来しているという。
直径40cmくらいの青銅の水盤で取っ手がついていたり、それらしき竜の彫刻などが施されている。この水盤に水を入れ、その幅5cmほどの縁を濡れた手でこするのが、使い方なのだが、こすり方には多少こつがいるものの、誰にもすぐにできるようになる。
最初は小さなさざ波がたち、それが水面を覆う頃、細かいしぶきが水面から吹き上がり出す。しぶきはだんだんに勢いを増し、高さ60cmくらいまで、さながら小さな噴水のごとくあがる。
何とも不思議な光景だ。皇帝がこれを使ってどのように吉兆を占ったのかはわからない。この皇帝盤に最初に出会ったのは「音遊びの会」を主催されている高野さんのところに再会に行ったときである。
その後、ヤフー・オークションでも見かけた。吉祥寺の商店街で客寄せに使っているところもあった。この現象に再会したのは、チベッタンボウルの素材の研究をとおして日本の仏具である「おりん」に着目し、金属の組成を変えて作ったシンギング・リンのセラピールームでだった。
チベット仏教の仏具に端をはっする音具にクリスタル・ボウルやシンギング・ボウルがある。これらのボウルは縁をこすったり、たたいたりして音をだす。こすって音が出るというのは馴染みがないが、こすって何かが起きるのは知っている。摩擦熱や静電気である。摩擦熱や静電気は、こすったものの内部で何かがおきていることを教えてくれる。
耳を澄ませば、こすって音がでることは日常いろんなところで経験している。蝉や虫の音は言うに及ばず、衣擦れの音もガラスに爪をたてるときの音もそうである。いろんなものをこすったり、たたいてみると、出る音は素材によって違うのがわかる。これが固体振動数である。ボウルの場合は、内部共鳴を起こして、上に向かった紡錘型の音場ができるという。そこに水を入れると、水の粒がこの音場にあった形で広がるということらしい。
水は音の媒体なのだ、人体は70%が水だというから、この音場にいる私たちのからだにも同じことが起きていると
考えると、いやすごいことである。これは。この音と水の共鳴実験をみなさんにも是非体験してもらいたい。