ベストセラー、40万部になろうという『食品の裏側』の著者、阿部司さんの講演会に行って来た。ムソー主催だ。
一年に数回くらいハンバーガーを食べることがある。夏に多い。コンビニのおにぎりもたまに食べる。赤飯が好きだ。
ところが、この「おにぎり」がくせ者らしい。
話は「サンドイッチ」「おにぎり」「いもサラダ」で始まった。あれはひどいらしい。
「そもそも、おにぎりが100円で作れますか?」
「古米、古々米をしっとりさせ、餌にもならない屑昆布を刻み味をつくるために必死の努力の結果なんです。あれは。
みなさん食品添加物好きですね」
「ハムも卵もきれいなのはどうやってると思います?」
「サラダの食感がいいのはどうやってるんでしょう?」
「家でつくったら、3日は持たないでしょう?」
あれ全部添加物のおかげらしい。
いかにも加工食品っていう即席麺の時代から、無添加とか健康に良さそうを謳い文句にした食べ物に添加物がたっぷりなんだそう。
中食の主流がお惣菜に移ってるらしい。味、色見、食感、保存、今ではできないものはないらしい。
1500種ある添加物の単独毒性はラットの実験で量も使用品目も決められているらしいが、複合毒性についてはまったく分らず人間には100倍で計算されているだけで、いわば人体実験という状態らしい。ときどき事件が起きて認可が取り消しになるようだ。
「まず、食品の裏側の表示を見なさい」
みんなが裏返して見れば、生産者も少しは注意深くなる。
で、「中の表示でわからないものがあったら買わない」。
「添加物のこと勉強しなくていい。勉強しても追いつかない」。
どうやら相手は大学や企業の研究室らしい。確かにかなわない。
「みんなが買わなければ添加物やめさせられる。安くて早くて便利を選んでるのは消費者です」
で、その場でコーヒーに入れるミルクやジュースを作ってくれた。植物油と水に乳化剤を入れ、粘りは増粘多糖類。ph調整材を入れる。これに色と香りをつけ、ダイソーの100円撹拌器でまぜればできあがり。
ウワー、コーヒー用のミルクですよ。これ。
松茸スープや即席麺スープも作ってくれた。計量もしない。化学実験用さじで一さじってな具合だ。実際はコンピュータで管理するらしい。うーん、まさしくあの味だ。
巨大な産学官の構造がこれを支えている。
コンビ二廃棄物を飼料にしていた養豚業者の豚が出産しなくなったと西日本新聞が伝えていた。こういうこと知らなすぎるね。ワタシたち。
鶏ガラスープの素も怪しいらしい。塩+化学調味料+タンパク加水分解物は黄金のトリオで、これに昆布だし加えると和風だしの素、鶏ガラ加えると鶏がらだしの素になるらしい。「~の素」は全部できるっていう。本を読んでないので正確じゃないが。
さてスープにはまってるワタシとしてはどうするか?固形ブイヨンよりいいだろうと思っていたのに。
前夜からペットボトルでつけた昆布に、あごだしパック(これはトビウオを乾燥させ刻んで袋に入れたものだから、まあ大丈夫だろう)と素材の味を引き出す「蔵の素」か? 「蔵の素」のフリーズドライもあったなあ。
「蔵の素」は福島の大木代吉商店がつくっている調理酒で、アミノ酸量が他の調理酒の1.5~2倍という極上もの。調理の手順をいう「さしすせそ」は古来、酒、塩の順だったという「酒塩文化の復興」をかかげて頑張っている。
これを使うといわゆる化学調味料がいらない。保存料として使っているスーパーもある。確かに、夏でもみそ汁のもちがよくなる。腐るというより、発酵するという感じで酸っぱくなる。わが家では、野菜サラダや焼き魚にもかける。そのために小口にしたのをスプレー容器に入れている。
これに、昆布やかつおを加えてフリーズドライにしたのが、下の写真だ。今は伊勢丹の食品売り場で売ってる。これもすぐれものだ。
企業が鋭意を集中して食品添加物を入れてつくったものを、自前の材料でつくってみる。挑戦しがいのある楽しみをもらった。
日曜、近くのコンビニにコピーとりにいった。ついでに食品表示みてみた。確かにコンビニには食べられるもの何もない。