いいなあ、何にもせんといて、湯にでもつかって。これからの季節は、そりゃあ何てったってオンセンでしょ。
ああ、あたしゃあ、温泉が、オンセンが・・・。
東武東上線の森林公園に『四季の湯』っていう日帰りの温泉施設がある。入浴剤まぜて問題になったどっかの温泉と違って、埼玉だけど、こっちは正真正銘のオンセンだ。夕方から入ると確か1500円。これがよかった。まあ、つくりは設計レベルはしっかりやったんだけど、細かい心配りがイマイチっていう感じがちょっとあって、そのあたりが雑な埼玉風ではあるんだけど。
露天風呂も、混浴の大露天から眺める滝とかがり火もなかなか。湯につかった客の目線まで設計されている。いやー、まだまだ日本にはいい湯があるなあ、と感動した。
子どもこころっていうと、一昨夜(9月8日)浜離宮朝日ホールで、タブラトゥーラの20周年コンサートに行ってきた。タブラトゥーラはリュートやウードの奏者であるつのだたかしをリーダーにした、五人組の中世古楽器グループ。リーダーのつのださんは、漫画家のつのだ次郎、メアリージェーンのつのだひろで知られるちょっと普通じゃないつのだ三人兄弟の一人。つのださん、白雪姫の七人のこびとのように舞台上をかけまわっていた。メンバーそれぞれは古楽器の国際コンクールで賞をとるほどの腕なのだが、目指しているのは中世の吟遊詩人やトルヴァドゥールのように思える。古楽イコール静謐といった世間一般の観念に一撃を加えてくれる。タブラトゥーラは古楽の原点に返るいたずらっ子芸人なのだった。
このタブラトゥーラをプロデュースした友人が、かつて蔵元コンサートを企画していたことがある。全国津々浦々にある日本酒の蔵元の酒蔵をコンサート会場にして、うまい酒を飲んで、素晴らしい音楽を楽しんでという参加者にはなんとも贅沢な企画だ。まあ、酒好きのミュージシャンに「うまい酒がたらふく飲める」といって格安ギャラですますにはもってこいではあるんだけど。
これが最高だった。コンサート会場は郡山の仁井田本家の酒蔵の二階。百数十名が板の間に座り込んだ。石造りの城館ではないけれど、古楽器の演奏にはピッタリのサイズだ。大阪から来た追っかけの女の子たちは興にのって踊り出す。コンサート後は野外のテント会場にふんだんの海の幸、山の幸、仁井田本家の酒「金寳」が用意され、参加者も歓待される。いや嬉しい。美味い酒があって極上の食いものがあるコンサート味わったことあります。
そこに、そこにだ。そこにタブラトゥーラが飛び入りで演奏を始めたのだ。興を盛り上げるトゥルバドールそのものののりでだ。今でもCDをきくと、「中世の響宴」が繰り広げられたあの一夜のことを思い出す。タブラトゥーラにも、歓待してくれた仁井田本家の人たちにも、「有り難う」っていいたね。アタシは。