呼吸法にもさまざまあります。ここでとりあげるのは、深くて速い呼吸法。ホロトロピック・ブレスです。
ホロトロピック・ブレス(ブリージング)はスタニスラフ・グロフがトランスパーソナル心理学のなかで提唱した呼吸法で、ロボット犬のアイボの開発者として知られる天下司郎さんがその名をつけた全国ネットワークをやっているので、ご存知の方も多いでしょう。
お産のときのラマーズ法ですすめられるのも多分、このホロトロピック・ブレスでしょう。まあ、そうは言われませんが。言われないのにはわけがあります。
この呼吸法は過喚起を引き起こし変性意識を引き起こすことで知られているからです。トランスパーソナルすなわち個を超える変性意識はナチュラル・ハイによって引き起こされます。ランニング・ハイなどとして知られています。
深くて速い呼吸法を2~3時間続けていると、えも言われぬ気持ちよさに襲われるというのです。かつては、助産婦さんによってとりあげられていたお産が周産期医療にすりかえられました。自然なお産が危険なお産になったのです。
つらくて苦しいと思われているお産が、二度と体験できない至上の快楽と紙一重であるのは『オニババ化する女たち』で話題になった津田塾大教授の三砂ちづるさんも言っています。生と死、苦痛と快楽が隣り合わせになっているのは生の不思議としかいいようがありません。
こうして書いている合間に「山陽道を行く」というNHKの番組で山口県坊府の笑いの会のニュースをやっていました。
抱腹絶倒とか腹の皮がよじれるほど可笑しくて死にそうだなんていいますが、これも深くて速い呼吸です。まあ、2~3時間は続けられないでしょうが。
2009/6/2
2009/5/25
未曾有をみぞうゆうと呼んで失笑をかった今時の首相を笑ってばかりはいられません。この人の問題は実は言葉たくみな点にあるからです。
「巧言令色、鮮矣仁(こうげんれいしょく、すくなしじん)」は、孔子の『論語』にある言葉です。意味は、言葉巧みで顔つきもにこやかな人物にかぎって、 仁の少ないことが、おうおうにして多いということです。
ですから、自分の言ったことが口先だけの思いつきではないことを立証しようとやっきになっているように見えます。有言実行はいいのですが、大事なのは巧言令色にあるのでなく、鮮矣仁(すくなしじん)のほうにあるのを見落としているように見えるのが残念なところです。
仁は人に対して慈しみやいたわりの心を抱いて事に当たることだといっていいでしょう。
政治家には、この「巧言令色、鮮矣仁」の人が多いように見受けられます。
小泉内閣のときの総務大臣竹中平蔵氏もそうでした。経済の専門家として立て板に水の、素人にはわけのわからない理論を並べています。市場原理、金融資本主義、グローバリズム、構造改革。
経済のグローバル化が市場原理を背景に押し進められているのを良しとしながら、そのことを批判されると巧みに言い逃れします。経済という言葉が世の中を治め、人民を救うことを意味する経世済民から生まれた言葉だというのに。ここには、人民を救うという想いは見当たりません。
郵政民営化が郵政私物化、郵政アメリカ化の隠れ蓑であったことなど今では誰でも知っています。
この国がほんとに生まれてよかった暮らしてよかったと言えるなら、年間自殺者が3万人を超えたりはしません。
わたしたちは、今ほんとうに「巧言令色、鮮矣仁」を見分けなければいけないのです。

