死んだら酸化がはじまり、酸化したものに腐敗菌が集まる。腐るというのは、電位が無くなった時、細胞レベルで死んだときに起きる現象だという話まできました。
●「生きてる」とは?
いま人の死は、モニターで確認するようです。心電図がピッピッピーとなる。よくTVドラマでやってます。それで死体をおいておくと腐っていく。
(*身体は電気信号で動いてます。だから脳波や心電図が使えるわけです。神経細胞の伝達物質はカルシウムイオンだとか電気的なものだというのはよく言われます)
指先の筋力反射(筋電位)を使って、ものの善し悪しを判断するO-リングテストも、それを考えれば何も不思議ではありません。微細な電位には膜電位、損傷電位なんてのもあるそうです。)
「死ぬ」ということは、電気反応がなくなるということだと言うこともできます。電気反応は電位差で導かれます。電位があるかないか!は生死を分ける最重要課題なわけです。
●生命活動とエネルギー
わたしたちは、酸素をとりこんで、その酸素が燃えることでエネルギーを得ていると習ってきました。だから、化学や栄養学では、酸素が必要だと。ようするにエネルギー酸化説です。これが違う。それだけじゃない! んだっていうのが宮嶋さんの強調するところです。
酸素を求めているのは老廃物を排斥するため。酸素で酸化させて追い出している。クエン酸回路とも言われるATC・ADP回路は、燐酸のなかの余分なマイナスの電子1個を動かして運んでいる。
人間は電子エネルギーで動いている!んです。
(*食べるっていうのは、エネルギーを取り込むひとつの方法です。他にも太陽のエネルギーを光のエネルギーとして取り込んだり、音のエネルギーをとりこんだり、さまざまな方法を持っています。晩年、世界政府運動とともに可視光線のスペクトル研究から自然界と生体内の原子転換にとりくんでいた桜沢如一が、このことに気がついていなかったわけはありません)
●放射線物理からエネルギーについて
自由学園高等部で放射線物理について研究していたときのことです。現場の作業はいちばん下っ端に命令されるんで、相当危ないことやらされました。原発ジプシーなんてことが言われてた頃ですね。わたしも実験室の中ですが、命の危険を感じたほどです。ただエネルギーに興味があったんで・・・(*放射線物理や地球物理をやったのは役にたった。で、わたしはこんなふうに考えます。)
わたしたちが活動していられるのは電子エネルギーによる。(食べることをエネルギーという見方でみると、電子を取り込むことだと宮嶋さんは言います)では、その電子はどこからとっているか? 有機物ですね。その有機物はどこから来るか? もとになる有機物は木々の葉緑素がつくっている。
一番安全なエネルギーである太陽エネルギーを一番効率良く活用しているのは現在でも葉緑素なんです。
4月27日に「mame de cafe」で開かれた「炭・石の不思議 イヤシロチを科学する」のレポートを少しずつしていこう。
まず講演をお願いした、宮嶋望さんと共働学舎についてだ。
宮嶋さんは、池袋にある自由学園高等部で放射線物理を学び、渡米、農場で酪農を学んだあと、ウィスコンシン大学で酪農学を修め、帰国。自由学園教師だった父の慎一郎さんが「もっとほんとうの教育を必要としている人がいる」と始めた共働学舎を展開すべく、帯広に近い日高山脈の山のなか、北海道新得町に入植する。廃材を利用してセルフビルドで宿舎を建て、障害者と共生・共働する共働学舎には現在60名が暮らす。
乳質のいいブラウンスイス種を導入。作業の遅い仲間でもできるチーズづくりに取り組む。十勝チーズサミットを開催し、ナチュラルチーズ・コンテストで優勝。昨年は農場で生産されるフェルミエタイプの世界コンテスト「山のチーズコンテスト」で金賞、フランスのシュバリエに認定されたチーズづくりの一人者でもある。
島村菜津さんの近刊『スローフードな日本』でも紹介されている。今回は25~26日とNHKの取材で上京されるタイミングに合わせて、急遽、午後の半日、時間をいただいた。
●山のチーズ・コンテストと共働学舎
どうして「山のチーズ」って呼んだかっていうと、(*金銭に象徴された)経済循環の有利な大都市のようなところからいちばん遠いところでがんばっている人、(*いのちの原点である食糧を)生産しているところで暮している人たちの生活を支援しよう、大地に根ざして生きている人を守ろうというのがそう名づけた理由だそうだ。
(*経済という言葉は「経世在民」からあてられた用語で、循環するすべてのものを意味し、昨今使われているようなお金や株のことだけをさしてる訳ではないと、橋本治が『市場原理は嘘かもしれない』集英社新書 で言っている)
その理念に共感したから「よし参加しよう」ってことになった。
健常な人と違い作業の遅い障害者がいっしょにできることで、付加価値の高い商品をつくろうと考えていて、チーズづくりだ(*小さな生産者、ゆっくりした時間、これぞスローフードの原点ですね)と思って取り組みはじめたとき、フランスAOC会長のヒュベールじいさんから「牛乳を運ぶな」と言われた。「ポンプを使って牛乳を運ぶな」と。
(*宮嶋さんたちは、ヒュベールさんらを呼んで「十勝チーズサミット」をやっている。)
通常のチーズや牛乳だとトレーサビリティができません。どうしてかっていうと、搾乳した生乳を集荷するからです。その間、普通は4回ポンプを使う。うちは 1回しか通ってない。(*ちなみに無殺菌で話題になった「想いやり牛乳」の長谷川さんの工房もこの考えを実践していて、ポンプは1回しか使っていないそうです)
搾乳室とチーズ工場を、傾斜を利用して自然流下させていますが、管を利用しているので遠くてはダメ、それぞれを近づけなくてはならない。ところが保健所の規定では50m離さなければならず、離せと言う。牛舎の雑菌が混入するというのが理由です。で、雑菌が繁殖しないように衛生管理できればいいんだろうということで、炭を埋め、距離23mでつくった。炭埋するとハエが羽化しないんです。
(*炭埋は地中に電池をつくるみたいなことですが、場に微弱な電位ができる。すると腐らなくなる。腐るというのは、電位が無くなった時に起きる現象のようです。発酵と腐敗をわける鍵は電位の有無らしい。電位がなくなると酸化が始まり、腐敗が始まるわけです。死んだら酸化がはじまり、酸化したものに腐敗菌が集まる)
(*宮嶋さんからの問いかけに、腐敗と発酵を分けるのは、好気性の菌と嫌気性の菌ではないのかと質問がありました)
次回は「生死と腐敗」です。このペースでは一週間かかるなぁー。まだ初めの30分にもなってない。