2006/10/24

お線香を焚いて、習慣というよりくせになっている背骨をゆっくりとゆらしながら、キーボードを叩き始めた。

23日『ガイアインフォニー第六番 ~全ての存在は響き合っている~』の試写を見に行って来ました。妙なる音と音楽が美しい映像によって描かれた類い稀なる映画でした。うまく言い表すことができません。なんとも言葉たらずなのがイヤになります。ともかく素晴らしかった。できるだけたくさんの人に見てもらいたい映画です。
 ちょっとだけ映画の説明をしておくと、メインの出演者は、ラビー・シャンカールと娘のアヌーシュカ・シャンカール.ピアニストのケリー・ヨスト、海洋生物学者で鯨のコミュニケーションで知られるロジャー・ペイン。ゲストに鯨の歌と共演したポール・ウインター。あいだを「虚空の音」の奏者、奈良裕之(弓 スピリット・キャッチャー)、KNOB(天然空洞木)、雲竜(笛)、長屋和也(磬)がつなぐ。

 タイトルテロップが終わったあとと、最後に和真音さんがつくった和製のボウル「おりん」のキャピラリー現象が映し出される。あの水粒がたちあがってくる映像です。キャピラリー現象は超音波で知られるものですが、挿入された「おりん」のシーンもわずかでほとんどの人は、何の説明もないので気がつかなかっでしょう。倍音と一緒に超音波も出ているのですが。今週末29日「まほろば」で体験される方には是非見ておいていただきたい。
 
 わたしたちの聴覚器官である耳に聞こえる音が50~2万Hzなのは知られる通り。で、CDでは不可聴領域であるそれ以上の高周波をカットした。聞こえない高周波音の生理効果を芸能山城組で知られる大橋力さんが立証した。そこからさまざまの規格が生まれたわけですが、大事なのは世界には聞き取れない音、まさしく虚空としか呼びようのない領域の振動もあると知ることです。

 『ナーダ・ブラフマー』は『世界は音』と訳されて出版されました。ジャズ評論家だったベーレントが書いたものですが、これを読んだとき、同じジャズの世界に居て、ここまで深く音と音楽を極めている人がいたのは驚きでした。この本はそれ以降、私の座右の書です。映画中ラヴィ・シャンカールのところでは「音は神なり」とされていました。同じことです。わたしたちは神である音環境に連なる生を受けたのですから。
 
 KNOBのディジェイドゥを聞いていると、般若心経の一節ギャーティ・ギャーティ・ハーラー・ギャーティのように(さわりしか知りません)聞こえたり、この夏札幌の「まほろば」の地下室で聞いたチベット僧の超低音の声明のように聞こえたりしました。

 ほかにも、いくつもの驚くべき一致がありました。

 奈良さんのところでは、動物を狩る道具である「弓はたんなる殺戮の道具でなく、自分たちを生かしてくれる他の生命に呼びかけ、その魂に感謝する「祈り」の道具でもあった」。わたしたちの先祖は弓を魂を捕らえるものの意で「スピリット・キャッチャー」と呼んだのだそうです。丁度、仕事で書きかけの原稿があり、「相克を相補にシフトするにはどうしたらいいか」と考えていたところに飛び込んできたのです。

 長屋さんは新宮の神倉神社のことびき岩に朝日が当たるとき、岩が出す音が聞こえると言います。ちなみに、龍村監督には聴こえなかったそうです。自分の耳に聞こえなかったけれど、長屋さんが子どもの頃から「自分は病気ではないか? 」と悩んでいたこの話を監督は信じたのです。わたしたちは「香りをきく」と言ったように共感覚に馴染んできた文化を持つものです。

 イギリスには、アルファベットを見て匂いがしたり、味を感じたりする人が1割はいるというBBCの番組がありました。この映画の案内でも「音を観て、光を聴く」旅が「地球交響曲第六番」ですと龍村監督は言っています。
 
 磐座に朝日が当たったとき、そこに何が起きているか? 古代の人々が感知したものは霊感とか神威のようなものを長屋さんは音に聞いたのでしょう。この未だ命名不能だったエネルギーをわれわれの先祖は神々と呼んだのではないか?

 わたしたちの五感のうち、視・聴・臭・味覚はそれぞれの刺激に対して特化した特殊感覚とされています。皮膚感覚には触・圧・痛・冷温がありますが、血液成分の感覚や固有感覚といって、腱筋関節に特有のニューロン感覚まで分ってきたそうです。これを総称して一般感覚としています。

 わかりやすく言えば、皮膚感覚などの一般感覚は未分化だったものがようやく認識されてきたということです。感覚が分化していくのと反対に起こっている共感覚の現象は、わたしたちが進化しているのか退化していると考えるかに解答を迫っているように見えます。共感覚を訴える人が増えているような気もします。

「秋きぬと目にはさやかに見えねども、風の音にぞ、驚かれぬる」も「見渡せば花も紅葉もなかりけり、浦の苫屋の秋の夕暮れ」も、古人の感覚の鋭敏さを伺わせるにじゅうぶんです。

 古代の人々が感知した未だ名がつけられないエネルギー、神威はシューマン共振だったのではないかというのが、わたしが追い求めてきたものでした。

 映画の中でも終演後の高円の宮妃殿下の挨拶でも極低周波という言葉が聞かれました。こうした言葉は日頃聞くことはありません。しかし、この場では何の違和感もありません。正直、嬉しかった。

 極低周波、シューマン波は1953年、イリノイ大学のシューマン教授が発見した電磁波で、地球上空にある電離層と地表の間で共振しているのだそうです。周波数でいうと、7.8Hz、14.1Hz、20.3Hz、26.4Hz、波長でいうと1万5千kmにもなるといいます。

 電離層は、昼四層と夜三層と違うようですが、それぞれD層(80km)、E層(100-120km)、F1層(170-230km)、F2層(200-500km)と呼ばれているようです。

 面白いのは脳波との同調で、平衡感覚・記憶・てんかんから生命発生との関係も研究されています。「シューマン共振が植物の成長に与える影響」とカラハン博士がしていたのはこれだったのです。感のいい方はもうお分りでしょう。言うまでもなく不眠やサーカディアン・リズムにもホルモンにも関係しているはずです。

「地球交響曲 第六番」の次回試写会は12月2日と3日紀伊国屋サザンシアターです。

 
 

 

 

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