前々回、大阪で行われた磐座学会に参加した経緯を書きました。
連休を利用して行ったこの4日間のことは語りつくせません。そのときの思い出を今も反芻しています。日々に新しい体験を追体験しながら書くことにします。
10月は7日~9日が連休で、混雑が予想されたので前日に仁和寺の宿坊に泊まりました。この数年京都に行くときは宿坊を利用させてもらっているのですが、仁和寺の朝の勤行は金堂での声明だというので、以前から一度体験したかったのです。
今回の京都・大阪行きの目的には磐座学会に参加すること意外に、夏に頼まれたLOHASのマニュアル企画の取材がありました。京都綾部市に暮らして「半農半X」を提唱する塩見直紀さんと町家倶楽部を主宰する妙蓮寺住職の佐野充照さんのインタビューです。
京都駅前で塩見さんとインタビューというより旧友のような雑談をさせてもらって、仁和寺の御室会館へ。その夜は舞鶴の舞田さんが来てくれ、広沢の池までドライブ。中秋の名月ですから、月見には絶景のスポット。あいにく月は見えず、舟を浮かべる人も見えず、舟を浮かべる貴人を見に集まるクルマの混雑を逃れて、ファミレスで食事。気がついたら閉店時刻。4時間くらい話し込んでいました。
背骨ゆらしをしているうちに気持ちよくなるのですが、気持ちよさを目的にしているうちはダメでそれを超えた空白状態に至るのが大事と聞いたと舞田さんが言えば、とりあえず、入り口は気持ちよさでいいんじゃないと私が返す。
そのままでいくと、魔境とか気功の偏差といった話になるので、やめましたが、そんな濃い話で盛り上がるのですから、まあ、変なおっさん二人が最終客。
翌朝、ぽつぽつ小雨まじり。東京を立つときは大雨だったので、カミさんが薄手のフードつきレインコートを用意してくれたので、助かりました。御室会館から金堂までは健常な人でも5分はかかる広大な寺なのです。
金堂の国宝釈迦如来像は見事でした。開け放った扉から差し込む朝の光と百目ロウソクに浮かびあがるさまは、まさに陰翳礼賛。闇にとけ込んで金色の仏像が浮かびあがるのです。眼福とはかくやと思わせました。ここで護摩壇を囲んだ10人ほどの僧侶が唱える声明の気持ちよさといったらありません。法悦とはこのことかという体験でした。仁和寺に泊まったら朝の勤行参加は宿泊客の特権です。是非参加してください。一生ものです。
夏、札幌の「まほろば」で聞いた6人のチベット僧の声明は大地からわき上がってくるほどに低い声でした。これも強烈な体験でしたが、仁和寺の坊さんのバリトンも素晴らしい声でした。倍音は聞き取れませんでしたが、あれだけ美しいとそんなことはどうでもよくなります。
朝の闇、凝らすととける光声
お粗末。
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