パトリス・ル・コントの名画『髪結いの亭主』は不思議な映画です。冒頭から主人公のくねくねとした踊りとアラブの音楽で始まります。この音楽はマイケルナイマンのものらしいのですが、どういうわけか妙に惹かれます。前世というものがあるとすれば、前世はアラブだったのでは思わせるほど惹かれるのです。
アンダルシアと海を隔てたモロッコにアルアンダルスの音楽があります。丁度、ユーミンとアンダルシアの番組をやっていました。キリスト教徒によるレコンキスタ(聖地回復運動)でアンダルシアを追われたイスラム教徒が故郷アンダルシアを懐かしんで歌った魂の音楽だそうです。リュートの元型らしきウードという楽器を伴奏に朗唱する、ほとんど唸りにも似たそのこぶしのきいた歌声。こちらは唸りがどんどん高音に導かれるのですが、よく似てました。
行ったこともない土地の音楽に懐かしさを感じて惹かれる。不思議です。
どうやら、ここには共振と共鳴の原理が働いているようです。共振は同じ波長の音に導かれるようにして他の音が自然になり出す現象をいいます。音叉やギターのハーモニックスで耳にします。どちらの音が叩くなり、こするなり、つま弾くなりのはたらきかけを受けたのか分らなくなります。
共鳴はここに音色がくわわります。音色まで同調するのです。これらは、音の深いところで起こるのでときに魂の音楽とか宇宙の音楽とか言われます。番組でユーミンも宇宙の音楽に深く感動しているようでした。
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